自分のキャリアを考える中で浮かんでくる「転職」という選択肢。ただ、それを実行に移すには迷うことも多いですよね。
営業職として転職を考えている方のために、営業職として求められるスキル、転職前に考えるべきこと、経歴のまとめ方、転職を成功させるポイントなどについて紹介します。これまでの営業経験を生かしてキャリアップ転職したい方、異業種から未経験で営業へ転職したい方、どちらの方の不安や疑問にもお答えできる内容になっています。
個人向けの営業支援や、キャリアコーチング、転職支援をされている河原崎さんにお話をうかがいました。
▼ 副業・フリーランスという営業の働き方に興味があるなら
営業職からの提案を求めている会社があります
監修:河原崎 幸之介(かわらさき こうのすけ)さん 株式会社LEAPH代表取締役。人材紹介企業とアメリカのIT企業で勤務しました。帰国後にフリーランスとして転職支援やIT系のスタートアップ企業の営業支援、2017年に現在の会社を起業しました。コーチングやコンサルティングの提供を通じて、営業職、組織が抱える課題解決をサポートする事業を行っています。
- 1. Q. 営業職に向いている人の性格や特徴はありますか?
- 2. Q. 営業職で身につくスキルとはどんなものでしょうか?
- 3. Q. 転職する前に考えるべきことはありますか?
- 4. Q.営業職の経歴、実績の伝え方のポイントを教えてください
- 5. Q.営業未経験でも転職できますか?
- 6. Q.営業未経験の場合は、どのように経歴をアピールしたら良いでしょうか?
- 7. Q.営業職に転職する際、有利になる資格はありますか?
- 8. Q.転職で年収を上げるポイントはありますか?
- 9. Q.転職を成功させる、良い職場選びの方法があれば教えてください
- 10. Q.営業職の種類によって適性は違いますか?
- 11. Q.営業職として今後のキャリアをどう描いていけばいいでしょう?
Q. 営業職に向いている人の性格や特徴はありますか?
河原崎:「向いている、向いていない」や「できる、できない」の判断軸で判断せずに、やりたい人はやったら良いです。
「このスキルがないと営業になれない」のではないです。営業をしていく中で、スキルがついていきます。
下記のスキルを身につけたい人にはオススメです。
Q. 営業職で身につくスキルとはどんなものでしょうか?
河原崎:営業職として働くと「問題解決のスキル」が身につきます。
問題解決のスキルをもう少し細かく見てみると、「問題を見つける力」「問題を解決する方法を考える力」「問題解決をする力」となります。
営業の仕事はクライアントの問題を解決することであり、その対価としてお金をいただいているため、毎日の仕事の中でこの力を身につけていくことができます。
また日々の営業活動を通じてこれらの力を発揮するなかで「ヒアリング力」「提案力」「周りを巻き込むリーダーシップ」も身につきます。
こうしたスキルを使って大小様々に問題解決をしていくことで、社会がちょっと豊かになるものです。営業とはそういう仕事ではないでしょうか。
そしてもちろん、ビジネスは問題解決の連続ですので、どこへ行ってもこうしたスキルの高い人が求められますし、転職にも有利に働きます。
Q. 転職する前に考えるべきことはありますか?
河原崎:何よりも、転職して「何をやりたいか」「どう生きたいか」「どう在りたいか」を明確に持つことです。そのための手段として“営業職”を選んでいただきたいところです。
「上司が評価してくれない」「環境が悪いから成果が出ない」といった他責の理由で転職する場合は、転職した先も同じ可能性があるので、まずはご自身が与えられた環境で成果を出すこと、自分自身が成長することをオススメします。
Q.営業職の経歴、実績の伝え方のポイントを教えてください
河原崎:転職活動で経歴をアピールするときのポイントは2点です。
1. 数字で実績を語ること
「売上額」「契約数」「契約率」「新規契約数」「商談数」「訪問数」「テレアポ数」「何人中の何位か」例えばこういった数字として明確に示せる事実は、実績として伝わりやすいです。
2. 実績を出せた理由を言語化すること
営業成績で1位を獲得できたのであれば、「たまたま1位を獲得した」のではなく、1位を取るために、どのように考え、どの行動したのかを言語化できることです。
「たまたまホームランを打てました!」ではなく、しっかりとねらった球でホームランを打てることが大切であり、どういうねらいでどう打ってホームランになったのか、そのホームランを打つためにどんな練習をしたか、言葉で説明できることが必要です。その説明ができれば、転職後も同じようにきちんと稼働して貢献できる人だということが伝わるでしょう。
もちろん、転職時に自信を持ってこうしたことを語れるように、在職中から積極的に業務に取り組むことが大事なのは言うまでもありません。
Q.営業未経験でも転職できますか?
河原崎:未経験からでも営業職への転職はできます。ただし、営業職として「何をやりたいか」「どう生きたいか」「どう在りたいか」といった自分の人生に関する価値観を明確にすることが何よりも大事です。どの職種、どの業界、どの企業で働くかはあくまで人生の価値観を実現する手段でしかないのですから。
Q.営業未経験の場合は、どのように経歴をアピールしたら良いでしょうか?
河原崎:どのような企業で、どのような営業を行うかにもよりますが、以下の3点を言語化できるとよいでしょう。
- 自分で考えて、工夫して、成果を出した経験
- 問題を提起し、その問題を解決する為にどう考えて、どう行動したか
- 自分がどう在りたいか、なぜ今までのキャリアを選択してきたか
これらをしっかりと説明できれば、あなたの仕事への取り組み方は伝わります。営業職として働く姿もイメージしてもらえるでしょう。
Q.営業職に転職する際、有利になる資格はありますか?
河原崎:そのような資格はありません。業種によっては就業に当たって必要な資格があり、持っていると採用検討時に優遇されることもあるかもしれませんが、「営業力を証明してくれる資格」というものはありません。営業職としての評価はこれまでの実績が決めます。
Q.転職で年収を上げるポイントはありますか?
河原崎:伸びている市場や会社を見極め、年収が高い会社に入社するのが近道でしょう。
実績を積んで自分自身の市場価値を高め、年収が高い会社に入社できる確率を高める努力は必要です。
ただ、「年収を上げる」だけだと少し曖昧なので、「将来的に自分がいくら欲しいか」をまずは明確にした方がいいでしょう。そこから逆算して、キャリアを選ぶべきです。
Q.転職を成功させる、良い職場選びの方法があれば教えてください
河原崎:まず、何を「転職の成功」とするかがその人次第ですので、先にそこを決めておいた方がいいと思います。
しかしながら、どの職場でも成果を出せる人が一流なのではないでしょうか。イチロー選手が「日本に帰って来てセ・リーグのチームに移籍したからヒット打てませんでした」と言うでしょうか。本田圭佑選手が「Jリーグに戻ってきたから点数入れられませんでした」と言うでしょうか。与えられた環境をチャンスに変えて成果を出せるのが一流というものです。
Q.営業職の種類によって適性は違いますか?
河原崎:適性は違わないですが、結果を左右する要因が違います。
まず営業全般に共通することは「クライアントの問題を解決することが求められている」ということです。つまり、課題を解決する能力が高いことが優れた営業職の条件のひとつになりますし、そうした能力やマインドを持っているかどうかが営業職としての適性の有無を計る尺度にもなるでしょう。
法人営業
大企業と中小企業で、購買の意思決定の方法が異なります。
中小企業であれば、社長が大体決めることができます。
一方で大企業や、扱う商材が大きい場合などは、複数の人が購買の意思決定に関わってきます。そのため、誰が意思決定をするか、競合がどんな提案をしているかといった情報収集が大切になります。また、意思決定を促す時はロジック立てて説明できることが大事です。
個人営業
個人のお客様相手の時には”感情”を大事にするとうまくいくことが多いです。お客様はロジックよりも“感情“で購買を決めるからです。感情に促す場合には、営業職が“信頼できそうか”がとくに大事です。「笑顔」「コミュニケーション力」「身だしなみ」こういったことを意識してみるといいかもしれません。
新規開拓営業
見込み客を見つけ、新しいお客様として契約までするのが新規開拓営業です。これができる営業は経営者からの評価も高くなり、市場価値も高くなります。
テレアポ、メール、DM、Webからの問い合わせ、飛び込み、紹介などを粘り強く続けられるかが結果を左右する要因となります。テレアポや飛び込みなどは泥臭くもあり、お客様から断られるというような、否定的なリアクションをいただくこともあるため、メンタルが鍛えられます。
既存顧客への営業
現在既に取引のあるクライアントの売上をどれだけ高めることができるかが求められます。いきなり売上アップはできなくても、良好な関係を維持できることは最低限必要かつ求められます。
売上をアップさせるためには、そのクライアントのことを深く知る必要があります。深く知った上で、クライアント自身も気づいていない課題や問題を見つけ、そこへの解決策を提案することができればうまくいくことでしょう。
Q.営業職として今後のキャリアをどう描いていけばいいでしょう?
河原崎:これもやはり「何をやりたいか」「どう生きたいか」「どう在りたいか」があってこそ描けるものです。職種はそれらを実現するための手段でしかありません。
なのでもちろん「転職して終わり」ではありません。
歩み方の例としては、会社を経営する、新規事業を立ち上げる、後進の営業職を育てる、会社のリソースを使って大きな問題を解決していく、大きな問題を解決するために自分自身の力をつけていくなど、本当に様々です。すべては選択次第ですが、選択ができるのも「何をやりたいか」「どう生きたいか」「どう在りたいか」があってこそです。
kokoroe編集部より
「転職して終わり」ではなく、「何をやりたいか」を明確にできていることが重要なのですね。みなさんは今後、どんなことを営業職としてやっていきたいですか?考えるヒントになれば幸いです。
▼ 副業・フリーランスという営業の働き方に興味があるなら
営業職からの提案を求めている会社があります