お客様の心をつかむ営業トークにはコツがあります。
営業のトーク術を磨きたいと思っている方へ、ベテラン営業職に聞いた「成果につながる営業トーク」のコツをお伝えします。
お話をうかがった方:営業職歴7年 Aさん
フリーランスの営業マネージャー。新聞社系出版社と年商1,000億円規模の東証一部上場企業で就業したのち、独立し現在に至る。会社員時代は広告営業、マネージャーとして部門内のKPI策定、全社の組織改革や中長期計画の策定、100億円規模の予算や戦略の策定など、数字を基にした戦略立案とマネジメントを多数担当してきた。現在もその経験を糧に、複数の営業プロジェクトを統括している。
アイスブレイク・雑談編
話題選びは無難に
まずは、お客様にお会いした直後のアイスブレイクです。時間は5分くらいが適当でしょう。
仕事をスムーズに進めるために、「人となり」をわかってもらうことは大切ですが、何を嫌と感じるかは人によって違います。プライベートにはあまり立ち入らず、話題は無難なものを選びましょう。宗教や政治の話などは特にNGです。天気、食べ物の話などが定番でしょうか。
話すスピードはお客様次第
話すスピードについては自分はそこまで気にしていません。ゆっくりの方が信頼感が出ていい、という声も聞いたりしますが、それこそ相手の方との相性です。ゆっくりの方がいい、というお客様もいれば、早いテンポの方が話がスムーズに進んでいい、というお客様もいます。お客様の話すスピードに合わせて調整します。
ヒヤリング編
お客様の課題をつかむ
ヒヤリング時は、お客様が今抱えている課題を話していただけるように促します。こちらから話しすぎず、適宜質問をはさむ程度にしましょう。
1回の質問ではっきりとした回答がもらえないときは、質問の切り口を変えながら、深堀りしていきます。
曖昧な答えには切り返す
お客様の曖昧な答えに対して「そうですか。わかりました」と応じるだけで終わってしまう営業職は、予想以上に多いと感じます。ですが、これはもちろん下手なやり取りです。
どこが曖昧になっているのか、なぜ曖昧になっているのかをこちらから働きかけて、クライアントが言語化・可視化できるようにしなくてはいけません。
相手を誘導してあげるという意識を持ち、曖昧な答えには、明確な答えが返ってくるような「返し」をこちらからします。
例えば、こちらが意思決定を促しても曖昧な答えが返ってきたら、即決は迫らずに「X日までにお返事をお願いします」と期限を設けて返事をもらえるように話したり、どこのポイントで判断をしかねているかを尋ねたりします。この”誘導”も営業の重要なスキルです。
提案編
解決できるという自信を伝える
ヒヤリング編でお客様が話してくださった課題に共感・理解を示しつつ、その解決のサポートが自分(自社)ならできる、という話につなげていきます。「効果が出ます!」という一言は必須です。
もし、お客様が複数の会社から話を聞いて検討しているようなら、他社サービスと比べての優位性も伝えます。逆に、他者と比べてのデメリットがある場合は、先に伝えてしまった方が印象がいいです。
勝手に判断しない
提案が進むにつれて、最後はお金の話になってきます。ここが一番気を遣う場面です。
よくあるのが、値段交渉の際にお客様から「少しまけてよ」と言われることです。ここで、営業職ひとりの判断で、会社の想定金額よりも安くしてしまうことは、当然ながら避けるべきです。「私ひとりでは判断できないので、社に戻って確認します」と伝えることは全く失礼ではありません。
新人の営業職だと、ここで勝手に値下げの回答をしてしまいがちですが、主任、次長、部長など、上の立場の人の許可が必須です。そういった許可を取らずに、勝手に提案先に提案した金額と、実際の金額に齟齬があった場合は営業として失格です。最悪のケースは会社間のやりとりという大きな問題に発展します。なので、金額の部分は特に気を遣います。
クロージング編
最後まで気を抜かない
いよいよクロージングです。商談がどういう結論になるのか、正直クロージングになるまで全くわかりません。担当者レベルでは好感触でも、クロージングの段階で上長が了解してくれなかった、といった経験はこれまでに何度もあります。契約書にハンコをもらうまで、成約したことになりません。契約書への押印が済むまでは、決して気は抜けないのです。
検討事項を明確にする
お客様からその場で契約をもらえればそれに越したことはないですが、「検討します」と言われることも多いです。その場で契約の返事がもらえないときは、以下のことを確認しましょう。
- いつまでに最終的な答えをもらえるか
- どこが懸念点か
- 想定予算は
- 検討している他社サービスはあるか
- 決済の判断は誰がするか
- その決裁者に提案させてもらうことはできるか
曖昧な返答だったら、すぐには脈はないと見ていいでしょう。長期案件として保管し、直近の営業リソースは他に時間を割いた方が賢明です。
契約はハンコをもらうまで
よくあるのが、お客様から口頭で「契約する」という返事をもらったものを「契約できた」として話を進めてしまうパターンです。契約が成立するのは、契約書にハンコをもらった時です。「契約する」と口頭で言われたら、その場で決裁権者に署名と押印をもらうくらいの心持ちが必要です。
営業トーク、これを言ったらNG
提案編のところでも出ましたが、「安くできます!」はNGワードです。営業職ひとりの判断で「安くできます」と言って、あとになって「その金額では無理でした」となると、自分自身だけでなく、自分の会社の信用問題にも関わります。自分で判断できる範囲がどこまでかを把握しておきましょう。
営業トーク、キラーフレーズ
これも提案編のところで出ましたが、「効果が出ます!」この一言は必ず伝えます。もちろん、言葉だけではありません。営業として提案している以上は、自分の商品のよさに絶対に自信を持つ必要があります。心からそう思っていないと、お客様によい提案はできません。
営業のトークは、決して小手先だけのテクニックではありません。営業職は、愚直にお客様のことを考え、課題を解決したいと寄り添います。その解決策として、自分の商品が本当にいいと思っているなら、それを最大限アピールする方法は知っておくべきでしょう。
kokoroe編集部より
以上、お客様の心をつかむ営業トークのコツをご紹介しました。商品の魅力を最大限にアピールできる、自分なりの「売れるトークスクリプト」をぜひ完成させていってください。
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