働き方改革の影響もあって、企業においては効率よく働いて成果を出し長時間労働を避けることが重視されるようになってきました。一方で「フリーランスの生産性」についてはまだ注目されていません。まとめてみました。
フリーランスが生産性を考えるうえで振り返ってみたいポイント
以下について最近のご自身を振り返ってみてください。
(1)事務仕事に時間をかけすぎていないか
見積書等の伝票類の作成や、売上管理ソフトへのデータ入力などが事務仕事に該当します。1日の業務時間の1/8以内(つまり、1日8時間働くとしたら1時間以内)に収めたいところです。
(2)売上額の低い商材を工数をかけて売っていないか
工数には「時間」と「自身が対応する業務量」が含まれます。売上額の低い商材に工数を割くのは生産性の観点からいえばNGです。「売上額の低い商材なら工数を極力かけないで売る」または「工数をかけるなら売上額の高い商材」が望ましいです。
(3)効率の悪いプロジェクトの優先度を把握・コントロールしているか
フリーランス営業職は複数のクライアントと同時期に取引をします。取り組んでいる案件によって時間の取られ方や収入額が異なります。
・短時間のコミットで高い報酬を得られる
・時間は少し多く取られるが高い報酬を得られる
・時間はごく短いが、その分報酬も高くない
・長い時間を取られる割に報酬が高くない
といった案件の特徴を見極めたうえで優先順位を決められているでしょうか。
上記のような各点が「生産性をどれだけ意識できているか」「生産性の高い状態で就業できているか」を見極めるためのポイントになります。
大企業における「生産性」
大企業であればあるほど、労務管理の仕組みも整っています。
「生産性を測る指標を策定する」という業務がある企業もあります。
1時間単位で各従業員が何をやっているかをデータ収集して生産性の向上を図る仕組みを持っている企業もあります。
こうした企業においては、営業職の生産性の定義がかなり固まってきています。
構成要素は「事務仕事の時間の長さ」「外出している時間の長さ」「売上」の3つです。
事務仕事とは例えば「見積書の作成」などのことを指します。
事務仕事に長い時間がかかっていて売上の低い営業職は「事務能力が低くそれによって生産性が低い」とみなされたりします。
そのため、事務仕事の能力もある程度必要になります。
営業というと「外回りをして商談をする能力」が重視されがちです。
「商談をして購買を決めてもらう」ことが営業の成果となりますので、これは当然です。
事務仕事はセールスを成功させるために欠かせないものではありますが、それ自体でお金が入るわけではありません。
そのためなるべく短時間で終わらせてセールスの活動に時間を使いたいものです。
事務仕事の能力が一定以上高ければこうした時間の使い方が現実のものとなります。
大企業にとっては8時間のなかで所定の業務を終わらせて残業をさせないことが労務管理上とても重視されます。8時間という前提があるからこそ、生産性が大切にされています。
独立後に生産性が落ちる理由
こうした大企業ではマネージャーが生産性も管理して業務の指示を出しています。
生産性を意識せざるを得ない環境が整っていると言えます。
一方で完全に個人で仕事をしていると、自分で常に意識しておかない限り、生産性というものとは無縁になりがちです。
だから時には、冒頭のようなポイントを振り返ってみるといいです。
会社員時代にマネージャーから指示を受けてその通りに業務をした経験だけだと、マネジメントのノウハウがなく、生産性を上げることができないケースが思いのほか多いです。
結果として、会社員時代と同等の年収を確保できても、労働時間は独立後のほうが長くなってしまう(つまり生産性が落ちてしまう)ということもあるのです。
これは会社員を離れて独立した後で失敗しやすい事柄のひとつです。
生産性が低い時に見直したい3つのこと
売上÷労働時間
営業職の生産性はこれで計算ができます。
この数字が少しでも大きいほうが生産性が高いことになります。
こうした数字を指標として
・会社員時代の自分の数値はどれくらいだったか
・フリーになった今の数値はどうか
と振り返ってみるといいです。
そのうえで生産性が低いと感じたら、次のことに気を付けてみてください。
時給換算
「報酬額÷労働時間」を計算した場合に、望む水準の時給額になっているでしょうか。まずは自分の望む時給額の水準を決め、それに見合った現状なのかを確認してみるといいでしょう。
商材単価
同じ時間を費やすなら、売価の高い商材を販売したほうが効率がいいです。もし可能であれば、売価を見直したり、商材自体を変えたりしてもいいかもしれません。
時間配分
「商談」以外の活動に必要最低限以上の時間をかけていないでしょうか。営業職の仕事においてお金を生むのは「商談をして購買を決めてもらう時」です。それ以外の業務の時間は極力短く済ませられるように工夫できると生産性が高まります。
求められる高い自己管理能力
結局のところ、自分で自分の時間の使い方や業務進捗を管理できるかが問われています。
組織に入って仕組みの中で働く会社員と異なる、フリーランスの宿命です。
日々の業務に追われていると自分を振り返る余裕がなくなる場面もあります。
時には意識的にそういう時間を確保してみてください。
その時に、この記事でお伝えしたことが役に立てば嬉しいです。