営業は、ものを売るだけが仕事ではありません。営業という仕事の醍醐味や大変さとは?を徹底解説します。営業職になりたい人、営業職になろうか迷っている人はもちろん、このまま営業職を続けていくべきか迷っている人にも参考になると思います。
お話をうかがった方:笹田 裕嗣(ささだ ひろし)さん 新卒で人材会社に入社し、営業や社内ベンチャー立ち上げに従事。その後、営業代行のサービスをおこなう個人事業主として独立しました。メール営業(Eメールを活用した営業)の手法で、現在はクライアント企業の新規営業案件を中心に支援しています。また、個人事業と並行して、WEBを活用したマーケティング支援をおこなう株式会社イノベーションハックのCOOにも就任しており、主にカスタマーサクセスの業務に従事しています。 ホームページ https://hiroshi-sasada.com/ オンラインサロン https://lounge.dmm.com/detail/343/
Q. 営業に向いている人、営業を楽しめる人ってどんな人ですか?
笹田:いくつかありますので、ひとつずつご紹介します。
1、お客様の満足を真剣に考えられる人
上でも書いた通り、営業は「売ったら終わり」ではありません。お客様の期待満足をきちんと実現できることが大事になります。そのためには、お客様がどうすれば満足していただけるかをきちんと考えて真剣に応えられる姿勢と力がまず求められます。
2、数字で自分の動きを把握できる人
とはいえ、営業活動は闇雲にやればいいというわけではありません。例えば、「月の訪問数のn%が受注に繋がる」というデータがあるなら、「今月は100件の受注が欲しいから、何件訪問しよう」といったように、数字に落とし込んだ行動ができる人は営業に向いていると言えます。
3、根拠(=数字)に基づいた改善ができる人
お客様にとっても自分にとっても得たい未来の姿があると思います。そこに行くまでにどういう努力を積み上げていけばいいのか、その努力が今どこまで効果が出ているのかなどを、感覚ではなく数字で指標化して、定量的に把握していくことが大事です。そのうえでその指標に沿って自分の行動を振り返ってPDCAを回して行ける人は営業に向いているでしょう。
4、決めたことをやり切れる人
ビジネスは信用・信頼で成り立っています。やると決めたこと・やると言ったことをやり切ることで、こうした信用・信頼を積み上げることができます。
また、やると決めたことをやり切ろうとすれば、できていないことをできるためにどうすればいいかを考えて改善していくようになります。こうした試行錯誤のなかで自分の力が向上することはもちろん、お客様にとってより良い提案・より良い関わりとは何なのかを考えるようにもなり、サービスの質が上がっていくことにもなります。
Q. 営業とは、どういう仕事だと思われますか?
笹田:営業活動は大変です。ご理解・ご納得いただけるまで時間と工数をかけてお話をしたうえで、お客様にお金を出して自分たちの商品やサービスを買っていただくわけですから。これが「売る」という行為であり、契約書の回収などが目に見えるゴールの形になります。
そうした大変さは営業に付き物ですが、この「売る」という動作や契約書の回収という出来事が営業の仕事のすべてではありません。どちらかというと、契約書を取り交わして買っていただけることになってからが本当のスタートと言えます。
「お客様の期待満足×売上回収」が営業の本当の役割です。これはここ数年でフォーカスされ始めた「カスタマーサクセス」という業務の本質でもありましょう。誰も不幸にならず、お客様も、社会も、自分も満たされる、「三方良し」にすることです。「売ったら終わり」ではありません。
この「三方良し」のために、「リサーチ」「ヒアリング」「提案」「クロージング(背中押し)」「サポート・フォロー」とプロセスを経た仕事が必要になります。
営業の種類とその特徴
法人営業
関わる人が多く、動く金額も大きいのが特徴です。目の前のお客様の感情を動かすことも重要ですが、組織を動かすためにロジックで考える習慣を持っていることが大切です。
個人営業
「人は感情でものを買う」といわれています。対個人の営業活動は、基本的に感情へのアプローチが大切です。身なりや言葉遣いが信頼してもらえるかなど、商材以外にも顧客の感情に影響する要因があります。
ルート営業
1人のお客様と長いお付き合いとなります。そういった関係構築が得意な人に向いている営業活動です。
飛び込み営業
このアプローチは断られることが圧倒的に多く、メンタルの強さが求められます。一方で、新規開拓の手法のひとつとして採用されることもあり、新規顧客の開拓に強い営業職は会社からも重宝されます。
他にも電話営業、インサイドセールス、メール営業、紹介営業など、営業のやり方はあります。また業界や会社のやり方もあるので、自分に合う営業を探してみて欲しいと思います。
Q. これから求められる営業職のスキルとはなんでしょう?
笹田:コミュニケーションの量と質を高められる人はこれからの営業職として求められます。言い換えれば、コミュニケーションを大事にする営業スタイルが求められます。
機械化・自動化していく中で、コミュニケーションが希薄化してきています。その中で、より深いコミュニケーションが取れる人は、今も昔も重宝されますし、これからも必要な営業力を持っていると言えます。
Q. 「営業は辛い」そう感じるのはどんな時ですか?
笹田:クレームをいただいた時です。クレームの原因は2種類あります。
1つは、自分がお客様の期待を実現できず、成果を納品できなかった時。
もう1つは、お客様とのコミュニケーション不足です。
どちらも自分で撒いた種です。事前にできること・やれることがなかったかと、振り返って真剣に考えるべきです。
ちなみに、クレームをいただいた時は、自分に原因があった・自分で撒いた種だという気持ちを持っていないとダメです。
Q. 「営業は楽しい!」と思う、醍醐味を教えてください
笹田:お客様の期待を充足した時や課題の解決ができた時、もう一歩深めて、期待を上回る成果を出してリピートや紹介をいただけた時は、営業をやっていて良かったという気持ちになります。
また、営業は良くも悪くも成果が数字で出る仕事ですが、その数字の達成が実現できた時の達成感も営業の醍醐味になります。
まとめると、お客様の期待値を達成して貢献ができた時と、自身の営業目標が達成できた時は、営業をやっている醍醐味を感じられるひと時です。
Q. 営業が「最高の仕事」と思われる理由はなんでしょう?
笹田:お客様との距離が一番近い、最前にいる仕事だからです。ビジネスは全てお客様ありきで始まります。そのお客様に会って、目の前で見て、話も聞ける職業が営業です。お客様に直接会って話をうかがうことで、色々な改善に結びつけることもできます。
課題解決の最前線で、お客様の声を一番ダイレクトに聞けるんです。そのぶんクレームの時は辛いですが、感謝の声も、いの一番に聞くことができます。こんな楽しい仕事はないですよ。
kokoroe編集部より
これまで酸いも甘いも経験してきたからこその、営業という仕事の醍醐味が伝わってきます。お客様のための課題解決力を磨き、さらに大きな仕事へチャレンジしていくことで、その楽しさは増していくのでしょう。
▼あわせて読みたい、笹田さんのインタビュー記事はこちら
メール営業の極意:アポ率7~8割を実現する考え方と文章の作り方