営業未経験から大手外資系保険会社の営業・管理職として華々しい成果を出されたのち、現在は沖縄で営業研修やキャリア支援を手がける中田太美子さんにお話を伺いました。
▼お話を伺った方
中田太美子さん
教育業界を経て、20代後半に営業の世界へ。営業コールセンターにて従事後、外資系生保の営業職として、ご紹介を軸にしたコンサルティング営業を展開。営業管理職としても、採用・育成・組織運営を経験して独立。現在は営業支援のほか、キャリア形成の視点からの営業研修も行なっている。
営業の基礎はすべてコールセンターで身につけた
もともと人とお話しすることが好きだから、くらいの感覚でコールセンターの仕事を始めました。入ってみるとコテコテの営業電話会社で(笑)。でも、当時3歳の娘を育てるためにもう後には引けない。毎日何件電話したのか記憶もないくらいかけていました。
自分の営業数字を達成するために、毎日努力は欠かしませんでしたね。目の前に鏡を置き、録音される自分のトークを何度も聞き直して、改善できる部分はないかと日々取り組んでいました。1日の終わりには自分のトークに対してフィードバックをもらい、頷きのタイミングやお客様の呼吸に自分が合っているか、といった部分まで確認しました。
そんな毎日を過ごしながら、気づけば成績はトップ軍団の仲間入りをしていました。そこで達成する喜び、達成しない苦しみを味わい、数字に対する目線というものを徹底的に育てていただきました。
当然ロケットスタートが切れると思っていた、保険業界での営業
コールセンターで数字を出してきた分、保険業界での営業もすぐに結果が出ると思っていました。地元の沖縄で営業活動を開始しましたが、初月はまさかの契約ゼロ。必死の思いで、提携のあった組合さんの店舗に一軒一軒足を運びました。
外資系ということもあり、育成の仕方がとてもしっかりしていたので、まずは素直に基本通りに取り組んでいましたね。結果として新人記録を塗り替えることができました。当時、飛び込み営業をした方々とは今でもお付き合いがあります。出会いのすべてに感謝しています。
売れる営業に必要なのは、マインド。そして実現するためのスキル。
営業ってスキルの前にマインドだと思うんです。言い換えると「志」ですよね。営業はサービスや商品を通して人助けをする仕事だと思うんです。でも、断られ続けて心が折れそうな日もあります。
そんな時に「この商品を通して、絶対にお役に立ちたい」というマインドが無ければ、気持ちのリセットボタンを押せないと思うんです。
マインドはお客様にも伝わると思います。信頼関係がなければ、相手の心に届くプレゼンテーションはできません。だけど、マインドだけではセールスって成立しないんですよね。マインドの上に、しっかりとしたスキルがあって成り立っていくんだと思います。走るための両輪です。
じゃあスキルって、そもそも何をするのか。まずはシンプルに活動数。人に会う、テレアポをする、見込みを作ることが、明日の自分を助け、お客様に余裕のある営業を提供することに繋がります。リアルでもオンラインでも同じかなと感じています。
そして商談の質を上げていくこと。失敗のたびにきちんと分析して、修正をしていく。情報を集めいてく。その積み重ねだと感じます。新人時代は、周りの優秀なセールスパーソンを観察して、遠慮なく教えてもらって、まずは真似てみるのも大切だと思います。
女性にとって営業職は復帰しづらい、は間違い!?
ライフチェンジを伴うことが多い女性のキャリアにとって、外回りや数字を追う必要がある営業職は継続しづらい職業という声を耳にします。しかし、個人的には営業こそが、女性が両立して働きやすい職種だと思うのです。
私の20年間の子育ては、営業の仕事とともにありました。営業は極端な話、時間ではなく成果。時間の組み立て方は自由です。時間が限られている女性こそ、むしろ生産性を上げやすいと思いますね。実際、私は子供がいることをネックに感じたことはほとんどありません。むしろ営業に必要な人間力みたいなものを、子育てから教えてもらいました。
人生経験の幅が広い方が人として厚みが出て、お客様と共感できることも増えていきます。子育ての先輩であるお客様に助けられたこともたくさんあります。
経験者だからこそできるマネジメントを
毎日の子育ての中にも、意外にも営業のヒントがあります。絵本の読み聞かせと、プレゼンテーションのコツって似てるなと思っています。
良い読み聞かせって、子どもの反応に合わせながら、時々質問したりして、想像させながら進めますよね。一方的だと飽きさせてしまいます。プレゼンテーションの進め方もこれと似てるなって。子どもは我慢してくれないから大人より強敵。なので読み聞かせも一つのトレーニングになりますよね(笑)。
個人的には、守るものがある方が成果が出せると思っているので、女性だからこそのサポート・マネジメントができるよう心掛けています。子育てはコミュニケーション力や忍耐力を育ててくれるので、子どもがいることはキャリアにとってプラスと言えますね。
現在のお仕事について
現在は沖縄で会社を経営しています。
3年前、娘が高校を卒業するタイミングで一度家に戻る選択をしました。その機会にこれまでやれなかったことを全てやろう!と。折々コラボレーションで始まったのが、離島の久米島にウィークリーマンションを立ち上げるプロジェクトでした。広報企画や環境設定がメインの仕事だったのですが、一度営業を離れてみたことで、営業の尊さを感じたんです。
沖縄の多くの会社では営業の教育システムのようなものがなく、先輩に付いていくことくらいしか学ぶ方法がない場合も多いです。改めて私自身はすごく良い環境で働かせてもらっていたのだなと実感しました。トレーナー経験も生かして、それを地元に還元したいと思ったんですね。
そこでキャリアコンサルタントの国家資格も取り、現在は主に沖縄のスタートアップに向けた営業研修やキャリア支援も行なっています。
どうせなら誰かの役に立ちながら生きていきたい
私にとって、「人の役に立てる」というのが今までもこれからも変わらないモチベーションです。働く人を応援したいという想いの部分をとても大切にしています。
実際に営業の仕事を通して、スキルや収入が上がることで、子どもに与えられる教育のクオリティが変わりましたし、人生を構築できたという実感を持つことができました。
お客様はもちろん、営業職に就く人たちには公私ともに豊かになってほしいという思いがあります。売ることって難しいと思われるかもしれませんが、大事なのは売る=助ける、というマインドセットができているかどうかです。
要は自分の数字のためのクロージングではなく、本音のクロージング。
本当にお客様のためになると思うのなら、お客様を助けるために売ればいいのです。マネジメントでは商品に対する自信や会社に対する安心感を持たせてあげることが大事だと考えています。
今後の展望について
育み合いながら働き合える世の中を作っていきたいです。営業力を育てるということは、その方の展望をさらに開くことに繋がります。人が持つコミュニケーション力を大切にして、育成しながらランナーとしても働き続けることが理想です。
営業でもインサイドセールスなどの技法がどんどん出ていますが、自分の軸は変えずに、そういった手法を身につけることで、世の中にアウトプットしていきたいですね。
kokoroe編集部より
終始太陽のように明るいオーラでインタビューに応じてくださいました。子育てをも営業力の糧に変えてしまうエネルギッシュな中田さんは、営業職として活躍する女性にとって希望を与えてくれると感じました。現在は講師としても活躍される中田さんに今後も注目です。
kokoroeを運営するカクトク株式会社では、過剰なノルマやミスマッチな消費行動の促しと行った営業の旧態依然とした慣習から「顧客に最適なものを営業する」スタイルが当たり前になるよう、kakutokuを通じてチャレンジしています。営業の副業・フリーランスをご検討の方は、ぜひ登録してみてくださいね。
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